モテない日本男子と外国人美女のデートの記録 1
スペイン人女性とのデート
このシリーズは、モテない日本男子がどのようにして世界中の外国人美女とデートにこぎ着け、情けなく失敗し、稀に成功してきたかを、赤裸々に告白する体験談です。
この体験談が、これから世界へ進出するブラザー達、そして男性を理解できない乙女達、そんなあなた方にほんの少しでも有益になれば幸いです。
デートに付き合ってくれた超絶美女の方々への最大の感謝と配慮を常に念頭に置き、筆を取らせていただきました。それでは、お楽しみ下さい。
モテない日本人男性のプロフィール
・顔:醬油100%
・身長:172cm
・体重:70kg
・服装:週末のセール品
・特技:空手
・職業:通訳
・田舎生まれ田舎育ち
・25歳までの経験、2人
・25歳で英語の勉強を開始
・26歳で初海外
・27歳でスペイン語の勉強を開始
スペイン人女性との出会い
ずばり言語学習アプリである。
「Hola」
と、そのスペイン人女性からメッセージが届いたことがきっかけだった。そのメッセージを受け取った当時、スペイン語の「ス」の字も知らなかった彼は、
”いきなり「ほら」とかゆわれてもなぁ”
という感じだった。翻訳ソフトにかけてみると「こんにちは」の意味だった。しかも読み方は「ほら」ではなく「おら」だった。
”はずかしっ!”
彼は27歳の頃、”英語が話せるだけでは世界で通用しない”と感じ始め、スペイン語の勉強を始めた。わけもわからず、手当たり次第に言語学習アプリをダウンロードしまくり、アカウントを作成していると、すぐにそのメッセージが届いたのだった。
プロフィールの写真は花の写真で、顔は分からなかったが、20代前半の女性ということは分かった。まさか後にマドリードで会うことになるとも知らず、彼は翻訳ソフトと辞書を使いまくり、他愛ない話を毎日のように続けた。
よくもまぁあれ程の美女が、あんな底辺な会話に付き合ってくれたと思う。
やり取りしていた内容
ほとんどが日記のような近況報告だった。
「こんにちは。今日は何をしましたか?私はラーメンを食べました」
「げんきですか?今日は寒いです。私は春が好きです」
こんなレベルである。
それが何か月か続いた。スペイン語のレベルがぎょう虫以下だった彼からすれば、それだけでも十分に難しかった。
それにその他大勢のユーザーへの返信に追われ、更にスペインと日本では7時間ほどの時差もあり、一日にやり取りする量は2通くらいであった。
それから徐々に家族のこと、仕事のこと、将来の夢、趣味、観光したい場所、過去の恋愛などについて話すようになった。
十分に仲良くなったと思った彼は、思い切って相手の顔写真が見たいとお願いした。
スペイン人女性の正体
「あなたの顔が見たいです。でも嫌なら大丈夫です」
ゆで卵のような顔をしてそうメッセージを送ると、すぐに返信が来た。
”ピーキー”という秘孔を突くときの効果音が聞こえてきた。
その可愛さは百裂拳並みにショックだった。本当に本人か聞きたいくらいだった。
そんな度胸もなく、結局聞かなかった。
小顔に大きな目、薄茶色の瞳、高い鼻、ストレートの茶髪、白い肌、細身で推定Dカップ、身長は160cmくらいだった(サムネのモデル似)。
それほどの美貌を持ち合わせておきながら、何故にプロフィール画像に自分の写真を載せないのか。
「どうしてその写真をプロフィールに使わないのですか?」
「気持ち悪い連中から毎日のように100通以上メッセージが届くので…」
さすがにそれはヤバいとして、それほどモテまくりの美女が、どうしてまた全くモテないジャガイモにメッセージを送ったのだろうか。
その理由を聞いて驚いた。
「あなたはとてもハンサムで、良い人そうだから」
普通の男であれば、ここで素直に喜ぶだろう。モテる男は、喜びもしないのだろう。そしてモテない男は、まず疑うのである。
”いや、翻訳ミスっとるやろ?”
ということで、色んな翻訳サイトを開き、そのスペイン語のメッセージを訳しまくった。本当にその意味で正しいのか、何重にも確認しておきたかった。
”正しかった…”
ただ困ったことに、何と返信して良いか分からない。彼は夏の休暇にヨーロッパ旅行を計画していたので、
「今年の夏に、ヨーロッパにいきます」
と、せっかく頂いたハンサム発言をガン無視で返信した。スペイン人女性もそれにこだわる様子もなく、
「マドリードに来てくれたら、案内したいです」
と親切な返信をくれた。
いざ、ヨーロッパ旅行へ
夏が来た。
スペイン、フランス、ドイツ、ベルギーを周遊する一人旅が始まった。
元々はバルセロナに滞在するだけの予定だったが、マドリードにも数泊だけ滞在することにした。マドリードのホテルでチェックインを済ませ、半信半疑のまま、そのスペイン人女性に連絡してみた。
「ホテルの近くの広場まで行きます」
その返信を見た瞬間、心臓の脈打つ音が耳に伝わってきた。ここまで来たら、後は行くしかない。広場へと足早に急いだ。
しばらくすると、小柄な女性が見えた。写真と全く同じ、本物だった。非現実的過ぎて、逆に緊張しなかった。
「すみません。お待たせしました」
「いえ、幸せです」
スペイン人美女とマドリードデート
超絶美女と焼きナス野郎のスペイン語デートが始まった。
彼のスペイン語レベルが雑魚過ぎて、そこまで会話は盛り上がらなかった。気まずい沈黙がちょいちょいあったが、そんなことをまるで気にもしていないかのように彼女の方から手を繋いできた。
モテる女は、いとも簡単にそんなことが出来てしまう。
彼女はマドリードの見所を効率良く案内してくれた。お礼に人気店でディナーに誘った。
「好きなだけ食べてくれ」
「マドリードのレストランは高いから、ドリンクだけで良い」
彼女はドリンクだけを注文して、食べ物を食べようとしなかった。外見のみならず、中身までも美しい。天は二物を与えず、と言うが、あれは嘘だと知った。
結局、パエリアを二人で食べ、レストランを出た。
「今日は案内してくれてありがとう。帰国したら連絡するわ」
彼は今日が最初で最後だと思っていたので、別れの挨拶を済ませた。
「出発は明後日でしょ?明日また会える?」
願ってもいない機会である。もちろん、と彼が頷くと、彼女はすーっと近付いてキスをした。モテない男は昇天しかけた意識を何とか保った。
世界の美女は、やはりそうゆことを平気でやってしまう。
デート二日目と別れ
仕事終わりに会ってくれた。
観光はほとんどせず、公園やカフェで時間を過ごした。日本人の下手くそなスペイン語にも随分と免疫が出来ているようであった。
その日のスペイン人女性の振舞いは、まるで恋人同士のようであった。一生に一度の大チャンス。彼は全神経を集中させ、男の呼吸を整えて言った。
「俺の部屋に行く?」
「行きたいけど、危険だから」
“よくご存知で…”
「うん、その通りやな」
「あなたじゃくて、私の心が危険」
スペイン人女性曰く、一夜を共にすると感情が抑えきれなくなるそうである。彼女の中でも、彼とのデートは、今回限りであることは分かっていた。本当に好きになってしまうと、後で苦しくなる。次にいつ会えるか分からないような遠距離恋愛はしたくない。
と言うのが、彼女の建前であるが、本当のところは分からない。
世の中には、分からないままにしておいた方が良いこともある。
“ええ夢みさせてもろた”
現実は残酷なもので、求めると辛くなる。明日からまた、これまで通り生きていけば良い。
何かを悟ったのか、彼女は言った。
「もっと自信を持って。あなたは本当に素敵だから」
この言葉は、後にモテない日本男子の運命を変えたと言っても過言ではない。
今回のスペイン人女性とのデートは、一般男性の基準で言えば「失敗」に終わった。寝ることが来なかったからだ。
ただ、これまで全くモテなかった男としては、勝利の中の大勝利である。
”俺も女性にアプローチしても許される”
そう思えただけで世紀の第一歩である。
そして、これから世界5大陸を制覇するに至るとは、まだ知る由もなかった。
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